09-01 ➡ 母からの人生の教えとトレーダーへの教訓

私は自らを、あくなき知識欲を持った熱心な観察者であり、人生についてのまじめな学徒であると考えている。 
その結果、私は人生の貴重な教訓を学ぶことができた。 
しかし、最近、この問題について熟考を重ねた結果、トレーディングについて必要なことはすべて、10歳になる前に母から学んだものであったことに気づいたのである。 
以下に、母が少年時代の私に与えた教訓をいくつか記しておく。

  1. 転んでも、起き上がる過程で学ぶことができれば問題ない。 今日に至るまで、私はトレーディングにおける失敗から学ぶ方法を実践し、また指導もしてきた。 
    私の被った損失はすべて次なる高みへの発射台となってきた。
  2. 他人がどのように感じているか(苦痛か強欲か)を常に認識しなければならない。 これはグレッグ・カプラがトレーダーとして成功した理由でもある。 
    彼は常に特定の銘柄について他のトレーダーがどのように感じているかを追求してきた。 他者の苦痛は自らにとっての収益機会を意味する。 
    成功するトレーディングとは、苦痛を感じている者から安く買い、強欲な者に高く売ることに他ならないからである。 
    トレーディングというゲームを極めるためには、マーケットに参加している他のトレーダーがどのように感じているかを理解しなければならない。 
    その能力を身につけることができれば、金持ちになれるのである。
  3. 今日、いかに状況が悪くとも、明日になれば改善する機会がある。 トレーダーとして今日のお荷物を明日の可能性のために持ち越すことは許されない。 
    次の取引に取り組む前に、今の損失の残りかすを綺麗に拭き取らなければならない。 さもなければ、失敗する。
  4. 自分の行動の根拠を認識しておかなければならない。 買いにせよ売りにせよ、恐怖や欲望などの感情に流されて行動してはならない。 
    特にトレーダーとしてこの2つの感情の間に知性が存在することを認識しなければならない。 そして、行動はすべて知性から生み出されるものでなければならない。 
    今日に至るまで、私は恐怖を感じている時には決して売りを入れなかった。 この結果、時には損失額が膨らんだこともあった。 
    しかし、知性が活動を始めるまで待つことによって、結果がよりよいものとなったことのほうが多いだろう。
  5. 物事をあまり真剣に考えすぎてはならない。 連勝を続けている時にはいつもこの言葉が耳元で鳴り響く。 
    私は、ほぼ毎日マーケットで勝っているにもかかわらず、社内のトレーダーに聞いてみれば、私が真剣になり過ぎることはないことを証明してくれるだろう。 
    実際、むしろ私は馬鹿を言っているくらいなのだが、これは母の影響によるところが大きい。
  6. 勝ち目のある戦だけを戦え。 この教訓によって、私は、銘柄、参入ポイント、退出ポイントを注意深く選定することを学んだ。 
    例えば、私がポジションをとるのは、それが自分に有利であること、そして、即座に利益を上げるものであることに安心していられる場合である。 私はマーケットと戦おうとは思わない。 
    それが勝ち目のない戦であることが私にはわかっている。 自分の選択がマーケットの動向と矛盾することに気づいた時には、すぐにポジションを閉じてマーケットに順応する。 
    ダビデは巨人ゴリアテとの最後の戦いに勝ったかもしれないが、マーケットにおいては常にゴリアテが勝つのである。
  7. 人生は支配するものではなく、仲よくするものである。 母から教わったこの教訓はマーケットに反してではなく、共に働くことを教えてくれた。 
    マーケットを、資金を奪い去る敵ではなく、自分を金持ちにしてくれる仲間だとみなすのである。 マーケットはフランケンシュタインではないのであり、友人なのである。 
    マーケットは悪夢の殺人鬼ではなく、殺人鬼から解放してくれる存在なのである。 端的に言えば、マーケットはありとあらゆる可能性を秘めた場所なのである。
  8. 損失は必ずしも常に貧しさをもたらすものではない。 時に敗北は勝利となる。 あまりにも多くのデイトレーダーがこのポイントを理解していない。 
    ストップロスが執行された結果、1ドルの損失を被ったとしよう。 その銘柄が2ドル下落したのならば、それは敗北ではなく勝利である。 いかに賢明に負けるかなのである。 
    これらの母から得た教訓を読者も身につけてほしい。 これらを読者が日常生活で実践してくれれば、母も喜ぶだろう。 
    読者が日々のトレーディングで、これらを実践してくれるだけで私は満足である。 もちろん、これらの教訓が私の人生において非常に役立ったことも付け加えておく。 
    そして、読者の人生にも同様に役立つものであることを願う。 母に感謝したい。